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【第74回】就業規則作成上の留意点(制限条項)

2018年03月29日インド

  前稿では、労務問題を離れ、BEPSに関する解説を行いましたが、本稿では再び労務問題に戻りまして、競業避止条項(Non-Compete Clause)といった制限条項(Restrictive Covenants)に関して解説します。

 契約当事者に一定の制約を課したり、特定の行為を禁ずる条項を制限条項と言いますが、会社と労働者との間で締結される雇用契約においても、このような条項が規定されることがあります。インドでは、労働者の義務として、会社在職期間中あるいは退職後一定期間中、その会社と競合するような事業に従事することを制限する競業避止条項や、会社のクライアントや他の従業員の引き抜きを禁止する非勧誘条項(Non-Solicitation Clause)といった制限条項を規定することが一般的です。競業避止義務条項の一例として、以下のような条項が考えられます。

 

 The Employee covenants with the Company that he shall not, during the employment with the Company and for the period of 1 (one) year after ceasing to be employed under this Agreement, perform or carry on any business similar/identical to or in competition with the business of the Company or/and its Associate Companies, on his own behalf or on behalf of any person firm or company directly or indirectly

 

  さて、上記のような制限条項は、インドの雇用契約書や就業規則で広く一般的に使用されていますが、制限条項が必ずしも全てのケースにおいて有効(強制可能)でないという点については、留意する必要があります。

 例えば、判例上、競業避止条項に関しては、雇用契約中に労働者が競業を行うことを禁止する場合は有効ですが、雇用契約解除後までこれを禁止することはインド契約法(Indian Contract Act, 1872 )に違反して無効であるということが確立しております。上記条項例のように、退職後の競業避止義務を1年に制限した場合であったとしても無効と判断され、この点は、相当性が認められる限度で退職後の競業避止義務の有効性が認められる日本の法運用と異なります。

 ただし、退職後の競業避止義務が法律上無効と判断されたとしても、その事実のみをもってして罰せられるわけではなく、また、一定の心理的抑止効果が認められるため、退職後の競業避止義務に関しても規定することが実務上一般的となっています。